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交通事故でのケガは重症化してしまうことが多々あります。ケガが重症で、骨や神経などに深いダメージを残した場合は完全に治すことができないことも多いです。

このように、ケガによる症状が治らなかったときは後遺障害として申請することができます。1~14等級ある後遺障害に認定されると、それぞれの等級に応じた賠償額が支払われます。

そこで、後遺障害として申請するとき「症状固定」と判断を医師にしてもらう必要があります。症状固定とは「治療を継続しても、今後の回復が見込めない」という状態です。症状固定とするタイミングは、後遺障害の申請では非常に重要な要素となってきます。

ここでは、後遺障害申請の前段階である症状固定の判断時期について解説していきます。

ケガが治らず、症状固定だと判断する時期

交通事故によるケガが回復の見込みがなくなったとき、残った症状に対して賠償額を払うものを後遺障害といいます。ケガが回復しないため、そのための慰謝料だと考えてください。後遺障害として申請するときは、医師から「◯月◯日に症状が固定した」という後遺障害診断書を書いてもらう必要があります。

経過が良くならない症状に対して、いつ症状固定と判断するかは難しいものがあります。ただ、治療実績として「最低6ヶ月以上の通院」が必要となります。いくら後遺障害がひどくても、6ヶ月以内に治療を打ち切ってしまったら後遺障害申請すらできないので注意しなくてはいけません。

どのケガも、深刻度によって症状固定日とすべき時期が異なります。ただ、ある程度の目安はあります。例えばむち打ちや腰の捻挫などは6ヶ月、かなり長引いても10ヶ月ほどです。そのあいだに症状固定と診断してもらい、後遺障害申請するのが一般的です。

骨折になると大きくバラつきが出ます。軽度な骨折であれば6ヶ月程度の通院が一般的です。関節機能が低下したものや、高齢者の骨折は10~15ヶ月のように長引くこともあります。

骨折は症状によって、後遺障害のうち1~14級全てに当てはまる可能性があります。軽度の変形やシビレが残った場合の後遺障害は、12級か14級で認定されるのが最も多いです。

また、機能面以外でも、見た目が変形してしまった場合も後遺障害の範囲に含まれます。「外貌醜状」といい、顔の骨や鎖骨などが変形してまったものが該当します。骨折による変形の度合いによって等級が変わりますが、7・9・12級のいずれかの後遺障害に該当することがほとんどです。

また、高次脳機能障害といって、脳へのダメージで日常生活が正常に遅れなくなったものは症状固定まで20ヶ月前後になるケースが多いです。

後遺障害と判断する時期はケガによってバラバラですが、多くは6~12ヶ月のあいだに症状固定としています。全体の約9割前後は15ヶ月以内に症状固定としています。そのため、上記の期間を参考にするといいでしょう。

症状固定と判断してもらうとき

症状固定をいつにするかは非常に難しい問題です。なぜなら、治療に見切りをつける目安はあっても、症状固定の時期には決まりがないからです。症状固定の時期を決定するのは、医師によって大きくバラつきがでます。

例えば、むち打ちが原因で発生した手のシビレがあります。まだ改善するかもしれないからという理由で通院を勧める医師もいれば、もう治らないと判断してすぐに症状固定を提案する医師もいます。

明確に◯月◯日に回復の見込みがないと判断するという概念は、交通事故の賠償特有のものです。症状固定という基準に曖昧な部分があるため、医師の判断に差が出やすいといえます。

症状固定という言葉は、医療機関と保険会社側で捉え方が違う

整骨院や病院などの医療機関側は「症状固定=後遺障害」として捉えます。しかし、保険会社としては、後遺障害を「治療打ち切り」として捉えています。そのため、治療期間が6ヶ月に満たないうちから「これは症状固定ですね」と言ってくるケースが多々あります。

これは、早く治療を打ち切りたいという狙いからです。前述の通り、6ヶ月以内に治療が終わると後遺障害を申請できなくなってしまうので注意が必要です。

早めに症状固定を提案してきたときは、後遺障害の申請をさせる気など全くありません。そのため、保険会社の言う通りにしてしまうと泣き寝入りのリスクが高まります。もし、このような事態にある人はすぐに弁護士に相談するべきです。

交通事故の治療中に後遺障害が残りそうだと感じたとき

むち打ちや骨折などを含め、交通事故でのケガが「長引きそうだな」と感じたら計画的な通院が必要です。まず、やってはいけないのが「整骨院だけに通院する」ということです。整骨院へ通院すると慰謝料は加算されていきますが、後遺障害の申請を視野に入れた場合は不利になることがあります。

それは制度上、医師の治療が重要視されているからです。通院のほとんどが整骨院では、後遺障害の認定は厳しくなります。実際、たまにしか病院や整形外科(クリニック)へ行っていないのに後遺障害の診断書をお願いしても、医師はまず書いてくれません。

治療の経過を頻繁に診ていないので、診断書に書く材料がないからです。整骨院では後遺障害診断書を書くことができないので、事故直後から病院を併用すべきです。ケガを完治できる見込みがあるのであれば、トラブルはないのですが、症状が長引きそうであれば病院も合わせて通院しておくといいでしょう。

後遺障害として認定されにくい症状

症状固定と判断されたとしても、後遺障害として認定されにくいものがあります。それは「見た目で判断ができないもの」「シビレなどの神経症状がないもの」です。後遺障害の審査は書類のみで行われます。そのため、他覚的所見という「画像で判別ができるもの」が有利となります。

骨折などで変形してしまったものは、レントゲンやMRIで明確にわかります。そのため後遺障害として等級が認定されやすくなります。

しかし、中には後遺障害を残しやすいケガであっても、後遺障害を証明しにくいものもあります。代表的な症状がむち打ちです。骨や神経にダメージがなくても発症しやすく、痛みが長引きやすいのが特徴です。

首のヘルニアが神経を圧迫している画像などで、明確に証明できれば後遺障害が認定される可能性は高くなります。ただ、このように画像で証明できなければ、自覚症状のみでしか痛みの判断基準しかありません。そのため、医学的証明が困難です。

むち打ちによる頭痛や首の痛みがあったとしても、書面で証明できなければ後遺障害で認定されないのが実態です。

弁護士に依頼して後遺障害の申請をするメリット

交通事故のケガで後遺障害の申請をするするときは必ず弁護士事務所に相談すべきです。申請のやり方で大きく結果が変わってきます。できれば事故直後、遅くても症状固定の前段階で相談するのが望ましいです。

弁護士に依頼することで、通院すべき医療機関や症状固定とする時期を教えてくれます。また、医師への症状の訴え方もアドバイスしてもらえます。

シビレなどの神経障害をしっかり医師に伝えなければ後遺障害診断書には書いてくれません。書面だけで審査される後遺障害の認定は、戦略的に進めていく必要があるのです。

むち打ちを例にしますと、後遺障害が残れば12級もしくは14級が該当する可能性があります。首から腕にかけてシビレが著しい障害は12級に該当する可能性がありますが、一般的には14級が最も多いです。

弁護士があいだに入ったときの慰謝料増額

後遺障害として最も軽いものが14級なので、認定されなければ「該当なし」となり、後遺障害慰謝料はゼロとなってしまいます。症状の証明方法で結果に違いが出てしまうため、後遺障害の認定を狙うなら必ず専門家の力を借りるべきです。

また、後遺障害14級として認定されると32万円が補償されますが、さらに増額することができます。弁護士があいだに入って交渉すると慰謝料が引き上げられる「弁護士基準」というものがあるからです。

後遺障害14級の認定であれば、弁護士が交渉すれば最大110万円まで増額されます。後遺障害慰謝料が全く出ないのと、110万円は非常に大きな差となります。

このように、交通事故は後遺障害を含めて「知らなければ損をする」というものになっています。障害が残ったからといって、必ず後遺障害認定されるわけではありません。通院の途中段階、症状固定とする時期などを計画的に進めていく必要があります。

後遺障害は、認定されるかどうかで今後の人生に大きな影響を与えるものです。後悔しないためにも交通事故に強い弁護士事務所に依頼するのがいいでしょう。