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交通事故では被害者と保険会社の間でトラブルが起こりやすいです。補償に関する制度は非常に複雑にできているため、素人である被害者がこれらを理解するには時間がかかります。そのため、保険の内容を十分把握できていない被害者が、専門知識をもった保険担当者と今後の補償について交渉するのは不利になります。

最初は、物損や医療機関選びなどのトラブルを感じることなく通院を継続できる場合が多いです。しかし、注意が必要です。治療が一定期間経過すると、徐々にトラブルが発生しやすくなってきます。

なぜなら、保険会社はできるだけ早く治療を打ち切って、賠償額を低く抑えたいという考えをもっているからです。そのため交通事故では、保険担当者とトラブルが起きていない状態でも、補償について弁護士に相談しておくことがベストです。

弁護士から早めにアドバイスを受けることで、適切な補償を受けられなくなる「二次被害(ケガだけでなく補償トラブルも抱えること)」を事前に防止することができます。

ここでは、交通事故が起こったときにトラブルがなくても弁護士に依頼すべきメリットについて詳しく解説していきます。

通院期間や賠償などで保険担当者とトラブルになりやすい

交通事故で被害者になったとき、保険会社はあなたの納得がいくような補償をしてくれれば問題ありません。しかし実際は、納得のいく補償を受けられるケースは少ないです。

このとき被害者だけで納得がいくように担当者と交渉を継続しても、担当者が折れてくれることはまずないでしょう。保険会社は「できるだけ補償を支払いたくない」という前提があるからです。たとえ担当者と納得がいかないようなトラブルがなくても安心してはいけません。

担当者は、あなたが被害で受けた症状が良くならず、賠償額が増えそうな気配を感じると急に「今月で治療は終了させていただきます」「骨に異常がないむち打ちは3ヶ月でほとんど治るはずです。本当にまだ痛いのですか?」というように、いきなり手のひらを返すような態度になる担当者が多くいるからです。

いきなりこのようなことをいわれると気が動転してしまうことがあります。とくに弱い立場であると思われている女性や学生は担当者からひどい対応をされやすい傾向にあるので要注意です。

担当者が不誠実な対応をとってきたら「いま忙しいので折り返します」「あとでゆっくり考えます」などいい、安直に担当者の提案を聞き入れてはいけません。担当者の対応が正しいかどうかを確認するためには、やはり弁護士など交通事故知識に詳しい専門家に相談しましょう。

通院期間や物損の補償など、未然に担当者の不当な対応を防げる

交通事故の補償は非常に複雑にできているため、保険の素人である被害者はすべてを把握することはできません。担当者が被害者に対して適切な補償をしてくれるのであれば問題はないのですが、スムーズに納得のいく補償を受けられるケースが少ないのが実態です。

なぜこのような理不尽なことが起きるのかは、保険会社の仕組みに原因があります。保険会社は補償で自社負担を減らして、いかに利益を大きく出すかが会社を存続させるためのポイントです。

保険会社はボランティアで補償をしているのではなく、一般企業と同様、保険者から集めたお金で利益を出す必要があるのです。そのため「できるだけ被害者への賠償額を減らす」という考えが根本にあります。

担当者は被害者の通院期間をいつ打ち切るかについて常に考えていますし、車などの修理代に関してもできるだけ費用を削ることを最優先します。被害者にとって不適切な補償とわかっていても無理な提案をしてくるのが担当者です。しかし、交通事故に関して知識のない被害者は、何が妥当ではないかを見極めることが困難です。

そのため交通事故被害に遭った直後からトラブルがなくても弁護士に依頼をしておけば、被害者の代わりに保険会社が適切な補償をしているかどうかをチェックしてくれるため、理不尽な補償を受けるリスクを回避することができます。つまり、交通事故被害にあったらできるだけ早いタイミングで弁護士に相談しておくことが賢明です。

弁護士を代理人とすることで担当者は被害者と直接交渉することができない

保険担当者とのやり取りは基本的に被害者本人が行います。しかし「被害者への賠償額を削るプロ」である担当者と補償の交渉のやり取りをするのは、補償の知識のない被害者が圧倒的に不利になります。

被害者は聞き慣れない保険の専門用語を使われてしまうと、補償内容が理解できないまま担当者の意見を受け入れることになってしまいます。これはあとでトラブルになる確率が高くなります。そこで被害者にとって強い味方になってくれるのが弁護士です。

弁護士と契約を結べば、弁護士が被害者の代理人となるため、保険担当者は被害者であるあなたではなく、代理人である弁護士を通じて交渉を進めなくてはなりません。弁護士に間に入ってもらうことで、被害者は直接担当者から知らない専門用語を使った交渉をされなくてすむため、適切な補償を受けられる可能性が高くなります。

弁護士が被害者の代理人として担当者と交渉することで、担当者からの不当な提案を防ぐことができます。担当者からすると、専門知識をもった弁護士にはごまかしが利かないからです。被害者の妥当な通院期間や慰謝料を確保するために、交通事故の知識に優れた弁護士に交渉してもらうことは必要不可欠となります。

担当者と頻繁に電話のやり取りをするというストレスがなくなるだけでも、弁護士に依頼するメリットは大きいです。

弁護士に示談交渉をしてもらうことで適切な慰謝料が支払われる

交通事故では通院した日数や期間に応じて慰謝料が発生します。慰謝料は「自賠責保険基準」「任意保険基準」「弁護士基準(裁判基準)」の3つの基準があります。それぞれの基準で慰謝料が変わってくるため、被害者はしっかりと把握しておく必要があります。

まず自賠責保険基準は「最低限度の補償」であるため、3つある基準の中で最も低い金額設定となっています。例えば、むち打ちの症状が残り後遺障害14級として認定された場合は、約32万円の慰謝料が支払われます。

任意保険基準では、保険会社独自の算定基準とされていて原則非公開です。ほとんどが自賠責保険基準よりわずかに上乗せされた金額となり、同じ後遺障害14級の後遺障害慰謝料が約40万円を提示してくる場合が多いです。

弁護士基準というのは最も高い金額設定となっており「妥当な金額まで増額してもいい」とされており、国が決めた基準となっています。弁護士が示談交渉をした金額が「本来の適正な金額(被害者が受け取るべき金額)」だと思って問題ありません。これは、過去に行われた裁判例を基準にして適切な慰謝料を決定しています。

後遺障害14級が認定され、弁護士が示談交渉をした場合は約110万円まで慰謝料が増額されます。同じ症状であっても自賠責保険基準と弁護士基準では3倍以上の金額となるので、交通事故被害者は示談をする際は弁護士に依頼した方が賢明です。

弁護士に相談すれば後遺障害申請までの流れをサポートしてもらえる

交通事故で負ったケガが治りきらずに症状が残ってしまったとき、後遺障害として認定される可能性があります。1〜14級まで分類され、等級ごとに細かく後遺障害の認定条件が設定されています。もし、後遺障害として認定されれば等級に応じた慰謝料が支払われるため、被害者にとって重要です。

基本的に後遺障害の審査は書面で行われるため、症状が残っているもの全てが後遺障害として認定されるわけではありません。計画的に後遺障害を立証しなくては、後遺障害認定されることは難しいのが実際のところです。

治療を打ち切るタイミングや症状を具体的にどのように医師へ伝えるかなどを、交通事故の知識に優れた弁護士にアドバイスしてもらうことが重要です。後遺障害が認定されるには非常に高度な専門知識が必要になるので、被害者自身で解決するのは困難です。

交通事故に精通した弁護士に依頼することで、後遺障害として認定されるまでの手順をアドバイスしてくれます。専門家である弁護士に頼んで適切な準備をすることで後遺障害として認定される可能性が高くなります。そのため、できるだけ早く交通事故に特化した弁護士事務所に相談することが望ましいです。

弁護士費用について

弁護士の費用は相談料や着手金など、かなり高額になってしまうイメージがあると思います。交通事故では弁護士に依頼する全てのケースで費用を負担する必要はありません。

まず確認しておきたいのが、自分が加入している任意保険(自動車保険)の内容です。任意保険のプランの中にある「弁護士費用特約」に加入していれば、保険会社が弁護士費用を300万円まで補償してくれます。

仮に弁護士費用特約に加入していなくても、あなたの家族がこの特約に入っていれば使用できることがあります。自転車事故や歩行中の交通事故など、契約する車両に乗車していないときに発生した事故も適用範囲に含まれることが多いです。(保険会社によって若干、適用範囲が違います)

非常に優れた保険内容ですので、まずは自分や家族の加入している任意保険を確認してみましょう。弁護士費用特約は使ったとしても等級が変わりません。等級が変わらないため保険料があがらない弁護士費用特約はリスクなく使えるので、加入していればすぐに使いたい特約です。

もし、弁護士費用特約に加入していない場合でも心配する必要はありません。良心的な弁護士事務所であれば「着手金なし」「完全成功報酬」で被害者の代理人になってくれるところがあります。あなたが弁護士に支払う弁護士費用を高額にするリスクを避けることができるため、まずはこのような弁護士事務所を探すとよいでしょう。